京大生のカメ

とある京大生のブログ。京都での暮らし・日々のこと・読書などについてぽつぽつ書いていきます

"aufheben" ~止揚~

どうも、カメです。

 

自分は第二外国語としてドイツ語を大学で学んでいます。というわけで一回生であらかた文法をさらったので、この前単語帳を買い、今語彙力を高めているところであります。

 

東進の単語帳なのですが、動詞の一番最初の単語は"aufheben"でした。少し驚きましたね。なぜ基本の動詞の最初の単語がこれなのかと。

 

意味を見ると「拾う」とだけ書いてありました。分離前つづりの"auf"と後ろの"heben"、それぞれ「上へ」と「持ち上げる」で「拾う」になるのでしょう。

 

しかしこの単語、別に訳し方がありますよね。ドイツ語を知らなくとも、哲学やその周辺に少しでも明るい方ならご存じでしょう。そう、止揚です。

 

止揚(aufheben)」とは、ざっくり説明すると、ドイツの哲学者ヘーゲルが提唱した弁証法の基本概念で、対立する考えや要素(テーゼとアンチテーゼ)が、より高い次元のそれ(ジンテーゼ)へと統一されるということです。「牛乳が飲みたい」↔「コーヒーが飲みたい」からの「カフェオレを飲む」みたいな笑(ちゃんとした説明はwikipediaで)

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ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル

てっきり単語帳には「拾う」と一緒に書いてあるものかと思いましたが、書いてあったのは「拾う」のみ。再び驚く。

 

気になって調べたところこんな記事がありました。↓

【話題のドイツ語】アウフヘーベン | ドイツ大使館 − Young Germany Japan

大使館の運営するサイトですからソースとして信頼できるでしょう。

 

何が書いてあるのかというと、"aufheben"はドイツではあくまで「拾う」という日常語であり、「止揚」という意味は一般的ではないとのことです。

 

まあ言われてみればそうですよね。日本人だって普通に生きているだけでは「止揚」という単語を知ることはあまりないでしょう。というわけで単語帳に書いてある意味は「拾う」だけ、ということです。

 

ここで疑問に浮かぶのが、なぜ「拾う」という動詞が「止揚」と訳されるような単語として使われたのか?ということです。「拾う」→「より高い次元へ引き上げる」のような意味のつながりで「止揚」となったのかな?とは思いますが、すこしそれだけでは「止揚」の要素が足りてない気がします。

 

ということで電子辞書で"aufheben"を調べたところ、「拾う」「持ち上げる」のほかに「保管する」「廃棄する」という意味もあるようです。なんで真逆の意味があんねん!と突っ込みたいところですが、ドイツ語に限らず言葉ってそういうところありますからしょうがないですね......

 

「保管」と「棄却」この二つで納得がいきました。つまり止揚」の前段階のテーゼとアンチテーゼは「棄却」されるものの、新たに生まれたジンテーゼはそれら二つの要素をなお「保管」しているということです。

 

まだまだ疑問は尽きませんが、「止揚」について理解が深まったような気がしますね。これが新たに言語を学ぶ楽しさでもあります。翻訳だけでなく学問がなされた言語そのものに触れることで、適切に深く理解することができます。この調子で楽しんで頑張っていきたい所存。

 

なんか偉そうに講釈垂れてる感じになってしまいましたが、ただ自分の中で合点がいったっていうだけの話です。知識としては基本中の基本みたいなものでしょうし、自分もまだちゃんと理解したわけではないです......だから怒ったりはしないでね......笑